私がロンドンに引っ越してきてからハマったものの一つに、建築巡りがあります。
ロンドンの歴史は古く、町中で様々な様式の建築を目にすることが出来ますが、その中でも私が一番気に入ったのは"ブルータリズム"。
主な時代は1950〜1960年と、比較的新しい建築様式です。
ブルータリズムという名前の通り粗野で冷酷な印象の様式で、荒々しい打ちっ放しのコンクリートが特徴。
私が初めてブルータリズムに出会ったのはオランダでしたが、この冷酷な荒々しさが見事私のツボにハマり、ロンドンですっかり虜になってしまいました。
この記事では、ロンドンが誇る素晴らしいブルータリズム建築の中で、ロンドン中心地で気軽に訪れることが出来る4箇所を紹介します。
- Brunswick Centre(ブランズウィック・センター)
- Trellick Tower(トレリック・タワー)
- Alexandra & Ainsworth State(アレクサンドラ&アインスウォース・ステート)
- Barbican Centre(バービカン・センター)
- おわりに
Brunswick Centre(ブランズウィック・センター)
まず一番最初に紹介するのは、Russel Square駅の目の前のカウンシルフラット、Brunswich Centre(ブランズウィック・センター)です。
カウンシルフラットとは低所得者や失業者が優先的に入居出来る公営住宅のこと。
現在は建築物として価値のあるものとして捉えられることが多く、毎年秋に行われる"オープン・ハウス"(ロンドンの建築物を公開するイベント)では非常に高い人気を誇ります。
ブランズウィック・センターは1972年に完成。
本来はかなり大規模な建物になる予定で、さらにはコンクリートにも色が塗られる予定だったのですが、資金不足で中規模に、そしてコンクリートが打ちっ放しで工事は終了。
そのせいで、予期せずしてブルータリズム建築になってしまったというエピソードがあります。
さらには、元々は普通の住宅として作られたものの、人気がなかったためカウンシルフラットになってしまったという、なかなかの不運をお持ちの建物です。
大英博物館に近く、敷地内には大きなWaitroseがあってお土産探しにも最適なので、観光がてらぜひサクッと寄ってみてください。
Trellick Tower(トレリック・タワー)
ノッティングヒルから北に行ったところにある、Trellick Tower(トレリック・タワー)。
ブラウンズウィック・センターと同じく、1972年に建てられたカウンシルフラットです。
無機質で、ずどーんとそびえ立つその冷酷な姿は、まさにブルータリズムそのもの。
等間隔に浮かぶように並んだ渡り廊下がチャームポイントです。
こちらはエントランス。
レトロな木製。
このトレリックタワーは、建築家エルノ・ゴールドフィンガーにより建てられました。
007の作者イアン・フレミングは、この建物が大嫌いだったのだそう。
そのせいで、ジェームズ・ボンドの適役をゴールドフィンガーと名付けるに至ったのだとか。
高さ98メートルにも及ぶ巨大なカウンシルフラット、かなり見応えがあります。かっこいい。
Alexandra & Ainsworth State(アレクサンドラ&アインスウォース・ステート)
続いてはアビーロードスタジオの北にあるブルータリズム建築、1978年に建てられたカウンシルフラット、Alexandra & Ainsworth State(アレクサンドラ&アインスウォース・ステート)です。
アレクサンドラ&アインスウォース・ステートは、520戸が連なる超巨大な集合住宅です。
全長400メートルほどありますが、建物が途切れているポイントが2箇所ほどしかないため、中間部に住んでいる人は出かけるためにここから抜け出すだけでも大変そうです。
これだけずらりと同じような建物が並んでいると、郵便配達がめちゃくちゃ大変そうだなとも思いました(笑)。
無機質な打ちっ放しコンクリートと、たくさん植えられた植物のコントラストがアンバランス。
独特の威圧感がたまりません。
アレクサンドラ&アインスウォース・ステートは、映画キングスマンのロケ地(エグジーの実家!)にもなっています。
住宅地なので静かに移動しなくてはなりませんが、敷地内を歩くことが出来ます。
この迫力を、ぜひとも実際に体験してみてください。
Barbican Centre(バービカン・センター)
ロンドンブルータリズムの総本山と私が勝手に呼んでいるのが、ここBarbican Centre(バービカン・センター)。
初めて訪れたその日から、ずっと虜。
こんなに惚れ惚れとさせてくれる場所、なかなかありません。
私がロンドンで一番好きな場所は、間違いなくバービカンセンターです。
見よ!この迫力のブルータリズムビル群を!!
モダンなオフィスビルや古い建物が多いシティエリアで、明らかに異彩を放っているビル群がバービカンセンター/バービカンエステートです。
バービカンセンターは、ロンドンのバンクエリアにある巨大総合文化施設。その大きさはヨーロッパ最大級!
劇場ホール、映画館、ミュージアム、図書館、植物園、カフェ、食堂など、様々な文化施設が集まっています。
バービカンセンターは、戦争による爆撃の廃墟地区の再開発で多額の資金を投じられ、1982年に完成。
当時、「女王からの贈り物」などと呼ばれていたのだそう。
文化施設の周りにはテニスコートやサッカー場をも備えた集合住宅バービカンエステートがあり、まるでこのエリア一体が一つの街のように完結しています。
前述のアレクサンドラ&アインスウォース・ステートと同じく、無機質なコンクリートと植物のアンバランスなコントラストがたまりません。
バービカンエステート敷地内の池は全てブルーに色付けられています。
このブルーのお水がバービカンセンターのディストピア感を更に増進させており、たまらないったらありゃしない。
2019年夏に撮影
バービカンセンターは、人々の憩いの場としても愛されています。
写真のように屋外にもベンチがたくさん設置されていますが、屋内にもソファやデスクがたくさん。
ホールでのオーケストラ演奏会の音漏れを聴きながら、勉強したり、ソファでゆっくりくつろぐなんてことも可能。
様々な文化施設が集まっているので、朝から晩までバービカンで楽しむことも出来ます。
カフェや食堂もあるので、食べ物もおまかせ!
ミュージアム併設のアートショップもあり、お買い物も出来ます。
ちなみに、バービカンセンターではバンクシー作品の鑑賞も可能です。
→ロンドンでバンクシー巡り!私が作品を見た10ヶ所一覧 - ワーホリハンターなう
朝から晩までとはいかなくても、ロンドンのちょっと変わったスポットを観に行きたい!というときにぴったりです。
その威容に圧倒されるはず。
おわりに
余談ですが、日本のアーティスト椎名林檎さんは過去に「日本にバービカン・センターを作りたい」といった発言をしており、ぜひとも実現して欲しいと思うところ。
粗野で冷酷であるはずのブルータリズム建築が、なぜこれほどまでに私の心を震わせるのでしょうか。
もしかするとみなさんのツボにもハマるかもしれません。
どこも見応えがあるので、ぜひ実際に足を運んでみてください。