先日、一時帰国をしました。
日本を訪れたのは約2年ぶり、そして完全な娯楽で一時帰国するのは4年ぶりでした。
23連休、毎日スケジュールぎちぎちで疲労もありましたが、超がつく充実の日々でした。
そんな一時帰国を終えてオランダに帰ってきた私を待ち構えていたのは、ホームシック。
海外生活もそろそろ丸6年を迎えますが、正直これまでホームシックにかかったことは一度もなく、日本が恋しくなるのは体調を崩したときだけ。
それも、日本というより日本食が恋しくなる日本食シック的なライトなもの。
今回私を襲ったのはヘビー級のホームシックで、ここまで辛く鬱々とした日々を過ごすことになるとは全く予想だにしない出来事でした。
今後もし同じ症状を患ったときのため、このブログでは今回のホームシックについての自分なりの分析、抜け出した経緯を記します。
地元鹿児島の桜が綺麗な公園にて。見事な満開でした。
私のホームシックは日本からオランダへの帰りの飛行機に搭乗した瞬間から始まっていました。
気持ちの整理がつく暇もなくひたすらぼろぼろと流れてくる涙を必死で止めようとするも、それはただただ無意味な行為でしかなく……
オランダの自宅に戻ってきてもホッとすることはなく、私の頭はひたすら「日本に戻りたい」という気持ちに支配されていました。
これがホームシックか。
数日で収まるだろうと思っていましたが、症状は治まるどころか日々ひどくなっていくばかり。
SNSで一時帰国している人を見かけると心の底からうらやましく思い、日本の友達の楽しそうな日本での日常を見て気持ちは落ち込み、毎日のように泣いてパートナーを困らせてしまいました。
私があまりにも毎日落ち込んでいるので、パートナーに「僕のせいでオランダに住ませてしまってごめん……」とまで言わせてしまう始末。
しかし、実はそんなパートナーもまた今回の日本滞在があまりにも楽しかったようで"ジャパンシック"になっており、二人して「日本に行きたいね」と一緒に悲しんでいました。
私はなぜこんなにも悲しいのか。
少しでも気持ちを軽くさせる方法が見つかるかもしれないという期待を抱いて、悲しみの原因を分析してみました。
今回の一時帰国は23連休だったものの、途中1週間はオーストラリアはメルボルンへ旅行に行っていたので、実質の日本滞在は2週間とちょっと。
会いたい友達はたくさんいましたが、2週間では全員には会うことはできず、でも、可能な範囲で多くの人に会えたので、本当に嬉しかったです。
会いたい人に会い、食べたいものを食べ、家族とゆっくり過ごし、2週間ではとても足りないのですが2週間で出来ることは最大限にコンプリートした満足感でいっぱい……。
ちょうど桜のシーズンだったので日本観光も存分に楽しむことが出来、気候もちょうどよく、非常に気持ちの良い2週間でした。
今回、23連休にもなる長期休暇を取ったのは人生で初めてのこと。
もちろん学生時代には長い休暇がありましたが、その間は課題やバイトに追われ、寧ろ授業があるいつもの毎日より忙しかった記憶があります。
何かから完全に開放されての自由な23連休。
もしかしてこれはホームシックなのではなく、この23連休という初めての特別な体験のせいではないかと考えました。
しかし、23連休を終えても仕事に戻ること自体は全く苦ではなく、寧ろ仕事自体は楽しいと感じている自分がいました。
仕事が嫌で落ち込んでいる訳ではありません。
ではこの23連休の行先がもし別の場所だったらどう感じただろうか?
例えば行先が大好きなオーストラリアだったら……ドイツだったら……
想像を膨らませてみましたが、日本以上に23連休を楽しめるとは思えませんでした。
見慣れた風景、食べ慣れた食べ物、話し慣れた言葉……全てが新鮮じゃないはずなのに、どんなにたくさんの国を旅行したとしても、結局日本を旅行するのが一番楽しい。
それはやっぱり、その土地に会いたい大切な人がたくさんいるから。
家族、友達。
それじゃあ、家族や友達と近くにいるために、オランダを離れて日本に住めば解決するだろうか?
……そうは思えません。
日本に住んで日本で働いてしまうと、23連休なんてなかなか取れません。
オランダで働いているから長期間日本で休暇を過ごすことが出来ました。
つまり、「日本という場所」x「長期休暇」のコンボがあったから、私はとても幸せな時間を過ごせたのだとわかりました。
ではこれを頻繁に実行すれば、私のホームシックは解決するのだろうか?
私はそうは思えませんでした。
お金と時間がたっぷりあったとしても、10時間以上のフライトは時間がかかりすぎるし時差ボケも辛い。
またコロナみたいなことが起きるかもしれないし、戦争が激化する可能性だってある。
いつ国境を閉ざされるかもわからない。
つまり、私がホームシックを感じている一番の理由は、日本があまりにも遠い場所だということ。
日本がイギリスみたいな位置にあれば、ホームシックにはなっていなかったと思います。
例え航空券が今と同じ値段だったとしても。
しかし、日本とオランダを近づけるなど、天と地がひっくり返っても解決が出来ません。
これから先ずっと、この解決できない悩みと隣り合わせに生きていくことになるのかと考えると、この土地で長年外国人として暮らしてきた在蘭邦人の先輩方に畏敬の念を抱かざるを得ません。
さて、ほぼ毎日泣いてパートナーを困らせていた私ですが、帰国から20日ほど経った頃、ふと気付くとホームシックが治っていました。
それには3つの要因があったように思います。
まず、仕事がとても忙しかったということ。
仕事復帰から2週間後、数か月に一度やってくるかなり重いタスクを急遽振られ、何が何でも3日で終わらせなくてはならない状況に。
集中力が必要なタスクなので、このタスクをこなしている間はホームシックなんて感じている余裕がありませんでした。
忙しいと余計なことを考える時間が減るのでいいですね。
次に、プライベートも忙しかったということ。
忙しいと言っても出かけ回っていたということではなく、前述した仕事が片付いた次の日から、パソコンとにらめっこしながら何時間もかけて夏のバケーションの旅程を組み、訪れる先々でのホテルを厳選していく作業が数日続きました。
バケーションの旅程を組むのって意外と時間がかかりますよね。
仕事並みに集中して作業していたので、その間はホームシックを感じている余裕がありませんでした。
最後に、仲の良い友達とたくさん遊んだということ。
ロンドン時代の友人達との再会x2、幼馴染とのサンセバスチャン旅行。
偶然、3回のお出かけが立て続けにあったので、これで私のホームシックは完全に吹き飛びました。
友達の力って偉大です。
今回深刻なホームシックになったことを通して、海外に外国人として住むのは簡単なことではないと改めて考える機会になりました。
言葉も文化も違うし、家族や友達とも離れなくてはいけないし、母国に帰るのも簡単ではない……他にも人それぞれ様々な悩みが増えがちになると思います。
そんな中、その場所で暮らしていけているのはすごいことです。
ホームシックは辛いけれど、恋しい場所があるというのはとてもいいこと。
そこで幸せな時間を過ごしたという記憶がある証拠です。
そして、帰ることができる国があるのは心強い。
その存在が私を強くしてくれます。
日本人に限らず、外国人として海外に住んでいる全ての人々に、私は敬意を表するッッ!